coco

心をちょっとずつほぐしましょ

コーヒーの躓き

お昼前、母のコーヒーを準備していた。

1杯分なので、コーヒードリッパーを直接マグカップの上に置くんだけど、

下が平らじゃなくて円錐で3本支柱がある(伝わるかな?)ような形だから

カップに載せるとグラグラする。絶妙なバランスで慎重にお湯を注がないと

いけない。そして、手などが触れないようにしないといけない。

すぐ隣で私の烏龍茶を淹れている。

 

あっっ!

 

お湯を注いだらバランスが崩れ、ドリッパーは傾き、中の豆とお湯がステンレスの

台にこぼれた。しかも、シンクの上のスライドタイプの台とシンクの隙間に入り

こんで、拭くのが面倒なパターン。台の上には食器が入った水切りかご。

 

ちょっとイラっとした。でも、何事もなかった気持ちでサッと拭き始め、慎重に

台をスライドさせた。ところが、かごの端が台からカチャッとずれて、端っこに

あった箸入れから、箸やスプーンが飛び出てバラバラとシンクに落ちた。

 

あーあ・・・

ちょっとトイレにも行きたくなってて、また少し心の中がざわついた。

気を取り直してスペースを確保し、かごを移して台とシンクを拭いた。

床にこぼれていた豆とお湯も拭いた。よし。

 

また、ドリッパーにお湯を注いだ。また、傾き、そして温めておいた私のカップ

中に少しこぼれた。すすいで、もう一度カップを温めた。

 

果たして、母が帰宅する前に1杯のコーヒーが出来上がり、私の烏龍茶も

急須にたっぷり用意できた。そのあと、シンクに落ちた箸たちを洗って戻した。

 

何でもないこと。

 

ただ、と私は想像していた。これが出来ず、あぁもういいや、汚れたままでも

散らかったままでも片づける気力もない、になる場合もあることを。

 

もしくは、これが人生の出来事だったとしたら、と。

何か一つにつまずいた。立ち直るにはちょっと努力が必要。他にも並行して

していることが頭の片隅にちらついている。焦る。

何とか立て直し、よし、またやり直そう、という気持ちになったところで、

また心を挫く出来事が起こる。体の調子も悪くなったりする。することが

増えていたりする。ますます焦る。すべてやめてしまいたくなる。

 

健康であれば、余裕があれば、何でもないことが、負担になっていく。

乗り越えることができればそれは、一時的なものになる。

一方、それがきっかけで、長期的なものになることがある。

立て直すことが、難しくなっていく。魔法のように「ある日突然、元に戻」らない。

 

自分でケアできるか、周りにケアしてくれる人がいるかが、とても大事だと思う。