coco

心をちょっとずつほぐしましょ

《映画》月の海

https://tsukinoumi.com/

 

私の好きな、ミニシアターで上映されていた。

 

都内の一軒家で暮らす、認知症の晴江さんと

静子さん。2人は義理の母娘。

晴江さんの息子の豊は、5年前に家を出て

行方不明、娘の虹子は自分の家庭があり、

介護には関わらずたまに様子を見にくる。

 

文字どおり献身的に晴江さんの世話をする

静子さん、でも晴江さんから投げつけられる

のは泥棒呼ばわりの言葉。

 

そんな生活が変わったのは、本当の泥棒が

家に入ってきたことがきっかけ。

静子さんと泥棒の姿を見た晴江さんは、

豊が帰ってきたのだと思い、そして静子さんの

名前を呼んだ。

 

奇妙な3人での生活が始まった。

 

3人が食卓を囲んでいる時、晴江さんが

嬉しそうにご飯を頬張っていた。それを見た

静子さんは、穏やかに微笑むのだ。

ふだん、どれだけ報われなくても、苦労して

いても。

それでも、嬉しい瞬間は存在する。

それで報われるわけじゃないと思う。

辛さとちょっとした幸せは、打ち消し合うこと

なく、同時に存在している。

 

静子さんにとって晴江さんは、かつて自分を

娘のように可愛がってくれた人だから。

 

老いは人を変えるし、まわりの人との関係も、

まわりの人をも変えることがある。時にそれは

幸せとは逆のように見える。

 

介護や認知症について、本人も、まわりの人も

とても抱えきれない現実があることを、私は

多少なりとも日々実感している。だから、胸が

苦しくもなった。でも、晴江さんを見て微笑む

静子さんの気持ちも、その時その空間に流れる

優しい空気も、わかる。

 

人と人が関わりあい、生きていく、ひとつの姿

をみた。どうすべきであり、何が良い、悪いと

いうのはないけれど、、