coco

心をちょっとずつほぐしましょ

覚えたり 思い出したり 忘れたり

先週、敬老の日ということもあり、祖父母を

訪ねた。

祖父は家の中で転倒し、歩くのがままならなくなり、入院を経て施設に入って1年とちょっと

過ぎたところ。

祖母は家にいるけど、膝が痛くてようよう

歩いているという感じで、足裏の怪我のため

入院していた時期も数ヵ月あった。

 

祖母が、「先日目覚めてみると、昼の3時半

で、朝の9時くらいかと思っていたのに

びっくりした、そんな時間まで寝ていたなんて

どうにも不思議だ」というような話をした。

 

え~、前の日の晩からずっと寝てたって

こと??と、聞きながら疑問に思っていたら

 

その後、祖母と同居している叔父が同じ状況に

ついて話していたところによると、祖母は

朝ごはんを食べた後もう一度寝て、起きたのが

午後3時半だった、とのこと。

 

つまり、祖母は、朝ごはんを食べたことを

忘れている、というのが事実らしい。

 

その他にも、ときどき、いわゆる物忘れかな、

ということが少し前からあったので、私を含め

みんなの気持ちとしては、

「やっぱり少し認知症の症状が出始めているのだろう」。

 

でも私、一方で、忘れることなんて誰にでも

あるじゃん、と思うのです。朝ごはんに自分で

味噌汁をつくって食べたことを忘れる、という

のは、私は信じられないんだけど、誰かと

話したことの一部が頭に残っていなかったり

するのは、日常茶飯事。

仕事では、締切をすっかり忘れている人にも、

よく遭遇する。

それと、何が違うんだろう。

 

覚えていることのほうがすごいのではないか。

年を取って、認知症になってしまった、という

表現はマイナスイメージだけれど、この年

(84歳)になるまで、記憶に関して、特に

問題がなかったとすれば、そのほうが驚きでは

ないか。

 

私は、できるだけ、線引きをしたくないと

思っている。どんなことについても。

線を引くことは、時には必要だし、便利だと

思うけれど、不要なときだってあるし、不便な

こともある。不便というか、それで誰かの何かを、勝手に判断している、と気づいたとき、

自分が居心地の悪さを感じるというだけ。

 

だから、その代わりに、「それもありだね」

って思えれば自分も楽になるのかな、と思って

います。