印象に残ったことば
2019年10月19日・20日の、朝日新聞朝刊「折々のことば」は、
どちらも最果タヒさんという方の随想集『きみの言い訳は最高の
芸術』(このタイトルも、覚えてしまうくらい素敵だと思う)
からの引用だった。
2019.10.19
うまく話せないときほど、言葉の近くにいる感じがする。
言葉は「きみの生中継」。オチや起承転結をつけよう
などと気配りせず、「うまく言えないことをうまく言え
ないまま、言葉にしてほしい」と詩人は言う。そして
「おもしろくないこと、意味のわからないことを、だら
だらと話してしまう人を見ると、愛されて生きてきたん
だなあ、と感動する」と。だらだら(原文傍点あり)は
ささやかな幸福の肌ざわり。
2019.10.20
共有したいっていう感情が、ずっとずっと邪魔だった。
誰かに共感してもらいたいので、人にわかってもらえ
なさそうなことは言わない。けれどそれは、自分の中の
もやもやを「余計なもの」として押し潰し、そうして
自分を消しているのでは、と詩人は言う。意味不明な
言葉こそその人が「その人だけの人生を生きてきた」徴。
「いろんな人と、何言ってるのかわかんないよ、って
笑ってみたい」と。
いや~、二日続けて、朝から心がしびれたんです。
意味のわからないことを、だらだらと話してしまう人に、
相槌打ちたい!
いろんな人と、何言ってるのかわかんないよ、って
笑ってみたい!
というか、何となく、そうして愛し愛されてきたの
かもしれない、と思う。
言葉は誰かに伝えるためのもので、伝えるときは
一応完成されてるというか、きれいにまとまって
ないといけない、みたいな思い込みもどこかに
ある気がする。でも、どんなにまとめてみても
一度では思った通りに伝わらないことの方が多い
し、それならいっそのこと、もやもやしたままを
表してみて、それを何言ってるの?って相手と
自分で一緒に考えてみれば。そういう風にできる
土壌を持っていれば、その方がいいのかな、と思う。
まぁ、
何とか自分の思いが伝わるように、しっくり来る言葉を
探して何時間も経ってしまうこともいいし、
ポンとこれ!っていう言葉が思い付いて、相手にも、
それ!ってすぐ伝わるのもいいし
ことばに、なるべく敏感でいたいな。
そして疲れたら、黙るとか、鈍感になるとか。